疲れた心に効く。日々の「良かったこと」を見つける小さなヒント
忙しい毎日で見失いがちな「良かったこと」に目を向ける
子育てやお仕事、家事にと、毎日本当にたくさんの役割をこなし、お疲れ様でございます。朝起きてから夜眠りにつくまで、「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と時間に追われ、あっという間に一日が終わってしまう。そんな中で、「今日、何か良いことあったかな？」と振り返る余裕すらない、という方もいらっしゃるかもしれません。
むしろ、予定通りに進まなかったこと、誰かに言われた嫌な一言、子供に何度言っても聞いてもらえなかったことなど、大変だったことやつらかったことばかりが心に残ってしまう、ということはありませんでしょうか。私たちの心は、ネガティブな情報に注意を向けやすい傾向があると言われています。これは、危険から身を守るためには必要な働きだったのかもしれませんが、現代社会では、それが知らず知らずのうちに心を疲れさせてしまう原因の一つにもなり得ます。
でも、もし、そんな忙しい毎日の中でも、心にほんの少しでも晴れ間をつくることができたらどうでしょう。今回は、特別な時間や労力をかけずに、日々の小さな「良かったこと」や「ポジティブな側面」に意識的に目を向けることで、心を軽くしていくためのヒントをお伝えします。
なぜ「良かったこと」に目を向けるのが大切なのか？
「良かったこと」に意識を向けることは、単に現実逃避をするということではありません。私たちの脳は、注意を向けたものによって活性化される部分が変わると言われています。ネガティブな側面にばかり注意を向けていると、不安やストレスを感じやすい回路が活発になりがちです。
逆に、意識的にポジティブな側面に目を向ける練習をすることで、感謝や幸福感を感じやすい心の回路を育てていくことができるのです。これは、筋力トレーニングのように、繰り返し行うことでだんだんと習慣になり、自然とポジティブな側面に気づきやすくなっていきます。
手軽にできる！日々の「良かったこと」を見つける小さな習慣
では、具体的にどのようにすれば、忙しい毎日の中で「良かったこと」を見つけられるようになるのでしょうか。どれも数分あればできる、とても手軽な方法ばかりです。
1. 寝る前に「今日の良かったこと」を一つ思い出す
一日の終わりに、布団に入って目を閉じる前に、ほんの一瞬で良いので今日一日を振り返ってみましょう。そして、「何か一つでも良かったこと、感謝できることはなかったかな？」と考えてみるのです。
- 朝、いつもより少し早く準備ができた
- 移動中にきれいな空が見えた
- 子供が笑顔を見せてくれた瞬間があった
- パート先の同僚が手伝ってくれた
- 温かい飲み物をゆっくり飲めた
- 信号に一度も引っかからなかった
どんなに小さなことでも構いません。「そんなこと？」と思うようなことでも、あなたが「良かったな」と感じたことが大切です。もし余裕があれば、それをスマホのメモや簡単なノートに書き留めてみるのもおすすめです。書き出すことで、より具体的に記憶に残り、達成感も感じられます。
2. 移動中やスキマ時間に「良いな」センサーをONにする
通勤時間や、誰かを待っている間のちょっとしたスキマ時間。ついスマホを見てしまったり、今日のタスクを考えたりしがちですが、そんな時にあえて周囲に目を向けてみましょう。
- 道端に咲いている花の色が綺麗だな
- すれ違った人の笑顔が素敵だったな
- カフェで流れている音楽が心地よいな
- 電車の窓から見える景色が穏やかだな
日常の中に潜む、ほんの小さな「良いな」に気づく練習です。意識的に探してみると、意外とたくさんの「良いな」が見つかることに気づくでしょう。これは、心のフィルターを「ネガティブを探す」から「良いところを探す」に切り替える訓練になります。
3. 大変だった出来事の中に小さな「良かったこと」を探す
「今日は本当に大変な一日だった」と感じた時こそ、この練習の出番です。困難な状況の中でも、ほんの少しでもポジティブな側面や、そこから得られた学びを探してみるのです。
- 子供がぐずって大変だったけど、抱きしめたら落ち着いてくれた
- 仕事でミスをしてしまったけれど、次に活かせる反省点が見つかった
- 予定が狂ってしまったけれど、おかげで別の新しい発見があった
- 疲れたけれど、今日の仕事をやり遂げることができた自分はすごいな
すぐに良い点が見つからなくても大丈夫です。無理にポジティブに捉えようとするのではなく、「この経験から何か学べることはあるかな」「この状況の中で、一つでも悪くなかった点は何だろう」と問いかけてみることから始めてみましょう。
無理なく、あなたのペースで
これらの習慣を始めるにあたって、最も大切なのは「完璧を目指さない」ということです。「毎日やらなくちゃ」と義務にしてしまうと、それがかえってストレスになることもあります。気が向いた時に、できる範囲で試してみる、というくらいの軽い気持ちで取り組んでみてください。
たとえ一つも見つけられない日があっても、自分を責める必要は全くありません。「そんな日もあるよね」と受け流すことも大切です。大切なのは、意識を少しでもポジティブな側面に向けようとすること、そのプロセスそのものに意味があるのです。
日々の「良かったこと」習慣がもたらす変化
毎日の中に小さな「良かったこと」を見つける習慣は、すぐに大きな変化をもたらすわけではないかもしれません。しかし、続けていくうちに、きっとあなたの心に穏やかな変化が訪れるでしょう。
- 大変な出来事があっても、気持ちの切り替えが少し早くなる
- 日常の小さなことに感謝できるようになる
- 自己肯定感が少しずつ高まる
- 漠然とした不安が和らぎ、心穏やかでいられる時間が増える
これらの小さな変化が積み重なることで、あなたの心には少しずつ晴れ間が広がっていくはずです。
まとめ：今日の終わりに、あなたの心に小さな光を灯しましょう
子育てや仕事に追われる忙しい日々の中で、自分の心をケアすることはつい後回しになりがちかもしれません。しかし、今回お伝えした「日々の良かったことを見つける」という小さな習慣は、特別な時間や場所を必要とせず、あなたの心に温かい光を灯してくれる手軽な方法です。
今日という一日の終わりに、ほんの少しでも良いので、あなたの心に残った小さな「良かったこと」を探してみてください。そして、明日もまた、日常の中に隠されたポジティブな側面にそっと目を向けてみましょう。その積み重ねが、きっとあなたの心を軽くし、毎日の中に穏やかな幸福感を見つける手助けとなることを願っています。あなたの心に、たくさんの晴れ間が広がりますように。